日本は第2段階「国内発生早期」
2009年5月20日現在、日本は第二段階(国内発生早期)となっています。

新型インフルエンザ対策行動計画対策レベルによれば、
第1段階「海外発生期」
第2段階「国内発生早期」
第3段階「感染拡大期」
となっています。
第2段階 「国内発生早期」の対策狙いは、日本国内での感染拡大を出来る限り抑えること。もし、今後の調査で、現在感染が広がっている関西地区の高校以外でも複数の患者が見つかり始めた場合、現在の第2段階からもう1段階引き上げられ、第3段階「感染拡大期」にレベルを上げることになります。
警戒水準(フェーズ)「6」
今回の新型インフルエンザ「豚インフルエンザ(H1N1)」の感染状況は、世界保健機関(WHO、本部ジュネーブ)によれば、
2009年6月11日現在、警戒水準(フェーズ)「6」

警戒水準(フェーズ)「6」とは、世界的な大流行(パンデミック)を示す警戒の最高水準(フェーズ)となります。
WHOマーガレット・チャン事務局長は「世界は今、2009年のインフルエンザ大流行の始まりにある」と述べ、WHOでは、新型インフルエンザの感染は、今後も拡大を続け、2009年秋には再び北半球で広がるだろうと分析しています。
WHOは「これまで北半球に広がっていたウイルスが、南半球にも広く拡大していることや、複数の国で地域社会での感染に移行している」ことなどから、警戒レベルをフェーズ6(パンデミック)に引き上げることに決めたと発表しています。
新型インフルエンザでは、これまでに世界74カ国でおよそ3万人が感染し、そのうち144人が死亡していますが、現段階で、ウイルスはまだ弱毒性で、旅行の制限や国境の封鎖を求めるものではないとしています。
しかし、感染の拡大は今後も進み、ウイルスが強毒性に変異する可能性があるとして、WHOでは、経過をしっかり注視していくことが重要だと呼びかけています。
ちなみに、世界保健機関(WHO)は、20世紀おこった3回のパンデミックの最後が発生した1968年以来のどの時よりも現在世界はインフルエンザパンデミックに近づいていると考えており、WHOは、世界にパンデミックの脅威の深刻さおよびより高度の事前計画活動を実施する必要について知らせるための制度として、パンデミック警報の6つのフェーズを用いるとして、警戒水準を以下のように定義しています。
警戒水準(フェーズ)「1」:
人感染のリスクが低い
警戒水準(フェーズ)「2」:
人による感染のリスクがより高い
警戒水準(フェーズ)「3」:
人から人へ感染はないか、または極めて限定されている
警戒水準(フェーズ)「4」:
人から人へ感染が増加していることの証拠がある
警戒水準(フェーズ)「5」:
かなりの数の人から人へ感染があることの証拠がある
警戒水準(フェーズ)「6」:
効率よく持続した人から人への感染が確立
新型インフルエンザ ニュース
2009年11月28日【世界全体での新型インフルエンザによる累計死者数】
世界保健機関(WHO)は、世界全体での新型インフルエンザによる累計死者数が22日時点で、7826人以上になったと発表した。死者数は前週発表された15日時点(6770人以上)の水準を1000人以上上回った。最も多くの死者が出たのは、これまでと同様に米州地域。22日時点の死者数は5360人で、1週間で500人以上増えた。
2009年11月25日【新型インフル、20歳未満多数】
2009年7月以降にインフルエンザに感染した推計患者902万人の8割を20歳未満が占めたことが国立感染症研究所のまとめでわかりました。これは夏休み明けから学校で猛威をふるう新型インフルエンザの流行傾向を数値で明らかにしたことになります。
2009年11月21日【新型インフル、高校入試で追試】
新型インフルエンザの感染が広がるなか、鳥取県の県立高校と県立特別支援学校の2010年度入試で、新型インフルエンザに感染したり、感染の疑いがあって受験できなかった生徒を対象に追試験を実施すると発表しました。追試を受けられるのは、医師の診断書がある、または試験当日、インフルエンザを疑う症状があり、受験できないことを在籍する中学校長が届け出た受験生で、新型か季節性かは問わない方針。
2009年11月7日【新型インフル、死者50人に】
茨城県は7日、新型インフルエンザに感染した同県ひたちなか市の40代男性が死亡したと発表した。高血圧症などの基礎疾患があり、死因は脳幹出血とみられる。県によると、国内の新型インフルエンザ患者の死者は疑い例も含め50人になった。
2009年11月7日【新型インフル死者6000人超】
世界保健機関(WHO)は6日、世界の新型インフルエンザによる死者数が1日時点で、6071人に達したと発表した。地域別では、北米・中南米が最も多く4399人、東南アジア661人、日本を含む西太平洋地域が498人の順。
2009年11月1日【新型インフルで3人死亡】
盛岡市は1日、新型インフルエンザに感染した同市の2歳女児が死亡したと発表した。厚生労働省によると、新型インフルの死者で最年少。また兵庫県は伊丹市の小学2年の女児(8)が、京都市は右京区の30代前半の女性会社員が、それぞれ死亡したと発表。国内の新型患者の死者は疑い例も含め計43人となった。
2009年10月28日【インフル、前週の約1.6倍】
厚生労働省は28日、インフルエンザによる学校(保育所、幼稚園、小・中・高校)の休校と学年・学級閉鎖が、18~24日の1週間で1万3964校に上ったと発表した。前週の約1.6倍、昨冬のピークだった1月25~31日(4105校)の3倍以上。大半が新型インフルエンザ感染とみられ、厚労省は「大都市での流行が本格化している」と警戒を呼び掛けている。
休校784校▽学年閉鎖3104校▽学級閉鎖1万76校。東京、北海道、茨城、愛知など9都道府県は500校を超えた。
2009年10月16日【連休に患者殺到】
新型インフルエンザの拡大が続く中、重症緊急患者を受け入れる3次緊急病院にインフルエンザを疑う受診者が土日祝日に殺到していることが分かった。愛知県病院協会が15日明らかにしたもので、稲垣春夫会長(トヨタ記念病院院長)は「現場はパンク状態。患者の殺到が続けば、事故が起きる心配もあり、冷静な対応をお願いしたい」などとする緊急アピールを発表した。
同協会などによると、名古屋第2赤十字病院(名古屋市昭和区)では、今月10~12日の3連休、インフルエンザではないかと訴える受診者が平日の4~9倍にあたる約130~280人訪れた。また、名古屋掖済会病院(同市中川区)でも、小児科で通常の土日祝日の4倍に上る受診者が訪れ、診察まで4時間待ちだったという。土日祝日に開業医が休みになるのが原因とみられ、病院では医師を増員するなどして対応に追われているという。
2009年10月16日【新型インフルエンザの流行が本格化】
長妻厚労相は16日の閣議後の会見で、「新型インフルエンザの流行が本格化し、一部の病院で患者が急増して重症者の対応が難しくなっている」と述べた。症状がない人が感染していないことを証明するための受診を控えるほか、感染が疑われる場合は事前に相談窓口などに電話をした上で受診してほしいと注意を呼びかけた。
2009年10月16日【13歳以上は1回接種】
厚生労働省は16日、新型インフルエンザの国産ワクチンについて専門家から意見聴取した結果、13歳以上は接種回数を原則1回とすることを決めた。2回接種の予定だったが、臨床試験の結果、1回で十分な免疫反応が期待できると判断した。約2700万人分とされていた国産ワクチンを接種できる人は大幅に増えることになり、厚労省は来週に新たな接種スケジュールを公表する。
2009年10月16日【念のため」の受診控えて】
厚生労働省の足立信也政務官は10月16日の記者会見で、新型インフルエンザ患者が特に多く報告されている5都道府県の担当者に実施した聞き取り調査で、感染していないか確認するため、簡易検査を受ける目的で受診するケースが多く見受けられるとして、こうした受診を自粛するよう呼び掛けた。
調査は今週、北海道、東京、愛知、大阪、福岡の新型インフルエンザ対策の担当者を対象に実施し、医療提供体制に問題が起きていないかなどを聞いた。その結果、家族が新型インフルエンザにかかった場合、本人が感染していないことを証明する、いわゆる「陰性証明」を求めて受診するケースが見受けられたという。しかし、足立政務官は「医学的には本人が感染していないことを証明するのは困難」と述べ、企業などに陰性証明を求めることを自粛するよう呼び掛けた。
ワクチン接種で4人に副作用
厚生労働省は2009年10月23日、新型インフルエンザ用ワクチンを接種した医療従事者約2万人のうち、4人に一時的な意識レベルの低下や嘔吐といった入院などが必要となる重い副作用が報告されたと発表しました。
ワクチンとの明確な因果関係は現時点で分からないが、同省は「季節性のワクチンと同様の症状で、いずれも回復した」としている。
同省は基礎疾患(持病)を抱える人たちへの接種開始に備え、19日から優先接種を始めた医療従事者の一部で副作用の有無を調査。医師や看護師計2万2112人を対象に、22日までの4日間の副作用報告をまとめた。
その結果、20代女性4人に意識レベルの低下や嘔吐、筋肉痛などが確認され、うち3人が入院した。発熱などの軽い副作用の報告は3人。
このほか、118万人分の初回出荷で順次接種を受けている医療従事者25人からも副作用報告が寄せられたという。
今回副作用が判明した計32人のうち、半数にアレルギーの持病があった。同省は持病のある人が接種を受けた場合、病院内で30分以上待機し、様子を見る必要があるとしている。
季節性インフルエンザワクチンは昨年度、4740万人が接種を受けたと推定され、121人から比較的重い副作用の報告があった。単純計算すれば新型ワクチンの方が副作用の確率が高いことになるが、同省は「今回は特に丹念に調べていることもあり、比較はできない」としている。
今回の新型インフルエンザワクチン接種の目的は何ですか?
今回の新型インフルエンザウイルスは、感染力は強いのですが、多くの感染者はかかっても軽症のまま回復しています。また、タミフル等の治療薬も有効です。
ただし、国民の大多数に免疫がなく、感染が拡大する可能性があることや、糖尿病やぜん息などの基礎疾患がある方や妊婦の方などが重症化する可能性があることが懸念されています。
今回の新型インフルエンザワクチンの接種は、死亡者や重症者の発生をできる限り減らすことと、こうした患者が集中発生して医療機関が混乱することを防ぐことを目的としています。
新型インフルエンザに感染した人でも、新型インフルエンザワクチンの接種が必要ですか?
一般的に、新型インフルエンザに感染して発症した方は、免疫を持っていると考えられるため、予防接種をする必要はないと考えられます。
ただし、確実に新型インフルエンザに感染したと言えるのは、PCR検査やウイルス分離等で新型インフルエンザウイルスあるいはその遺伝子が検出された方のみですので、PCR検査等によりウイルスの検出が行われず既に新型インフルエンザに罹患したかどうか不明な場合、希望すれば接種することは可能です。
近大付属和歌山中高の489人が集団感染
近畿大学付属和歌山中学・高校(和歌山市善明寺、中学511人、高校1193人)で、中学15クラスの202人、高校30クラスの287人の計489人が新型インフルエンザ感染の疑いがあることが2009年9月15日、和歌山市保健所が県に行った報告でわかった。
同校は16日から18日までの休校を決め、全生徒に対し、休校中の外出の自粛を求めた。厚生労働省によると、「同じ学校から1日に約500人もの感染疑いの生徒が報告されるのは初めてでないか」としている。
同校によると、校内で初めて新型インフルエンザの感染が疑われる生徒が出たのは先月26日。直後からうがいと手洗いの徹底をうながし、消毒液の設置などの対策をとった。
しかし、今月10日時点で、十数人に感染の疑いのある生徒が出たほか、今週になって高熱などの症状を訴える生徒が急増。欠席者が増えたため、学校側で個々に聞き取り調査を行い、15日になって計489人に新型インフルエンザの疑いがあるとし、保健所を通じて県に報告した。このなかに簡易検査で陽性反応が出た生徒も含まれている。
県総務学事課はこの日、同校に対して聞き取り調査を実施した。学校側は「今月12日に文化祭、13日には体育祭を行い、外部との接触が増えたために感染が爆発的に広がったのではないか」などと説明。ただ、県総務学事課などは「10日時点で、学校も複数の生徒に感染の疑いがあると知っており、その可能性は想定できたはず。学校側に対応に甘さがあったかもしれない」と指摘している。
新型インフル、なぜ高齢者の感染が少ないのか
2009年05月22日、AFPがワシントンD.C.発で以下のようニュースを配信しています。
今後、このニュースが新型インフルエンザに対してなんらかの予防策を生んでくれればと願うばかりです。
【5月22日 AFP】米国全土で再び新型インフルエンザ「インフルエンザA(H1N1)」の感染が拡大しつつあるなか、高齢者の感染者が少ないことから、高齢者には何らかの免疫があるかもしれないと一部専門家が指摘している。
米疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)による調査の結果、米国内での感染者のうち、64%以上が5歳から24歳であるのに対し、65歳以上ではわずか1%だったことが判明した。
これについてCDCの専門家アン・シュチャット(Anne Schuchat)氏は、高齢者が過去に新型ウイルスに似たウイルスに感染したことがある可能性を指摘した。「特に60歳あるいは65歳以上の高齢者は、過去に(インフルエンザに)感染してH1N1ウイルスに対しある程度の免疫を獲得しているか、ワクチン接種を受けている可能性がある」
現在、全世界の新型インフルエンザ感染者数は1万1000人以上、うち死者数は85人に達しているが、その大半が若者であることに各国の保健当局は首をかしげている。
CDCの調査では、幼児や10代の若者が新型インフルエンザに感染しやすいことが指摘されている。今回のインフルエンザが数ヶ月以内に強毒性となって再流行し始める可能性もあることから、関係当局は強毒ウイルスの襲来に備えている。
(c)AFP
新型インフルエンザ(A/H1N1)の臨床症状等
日本における流行状況:2009年7月22日までの累積報告数 5,022人
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都道府県別インフルエンザ定点当たり報告数・累積報告数
2009年33週(08月10日~08月16日)
例年、定点あたり1を超えると「インフルエンザ流行入り」として注意喚起を行っており、今般の新型インフルエンザについても本格的な流行に入ったと考えられる。
沖縄県 報告数: 1,717 定点当たり: 29.60
奈良県 報告数: 163 定点当たり: 2.96
滋賀県 報告数: 129 定点当たり: 2.48
福島県 報告数: 196 定点当たり: 2.45
東京都 報告数: 545 定点当たり: 2.14
・
・
・
・
山口県 報告数: 36 定点当たり: 0.51
宮城県 報告数: 39 定点当たり: 0.41
岡山県 報告数: 34 定点当たり: 0.40
北海道 報告数: 74 定点当たり: 0.32
富山県 報告数: 10 定点当たり: 0.21
90歳以上が抗体保有か
2009年7月13日 時事通信
東京大医科学研究所の河岡義裕教授らの研究チームは、90歳以上の高齢者は新型インフルエンザに対する抗体を持っている可能性が高いが、それより若い世代はほとんど持っていないことを明らかにした。論文は13日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に掲載された。
河岡教授らは、マウスやカニクイザルなどのモデル動物を使い、新型インフルエンザウイルスの増殖性や病原性を調査。通常のインフルエンザに比べて肺での増殖効率が高く、重篤な症状を引き起こしやすいことが分かった。
さらに、新型ウイルスが登場する以前の1999年に採取された血清を使い、新型ウイルスへの抗体を調べたところ、スペイン風邪が流行した1918年以前に生まれた世代のみ、抗体を保有していた。
また、研究チームは、抗インフルエンザ薬タミフルや、現在開発中の抗ウイルス薬が新型ウイルスに効くかどうかも試し、いずれもウイルスの増殖を抑制できることも明らかにした。
一方、国立感染症研究所の小田切孝人インフルエンザウイルス研究センター第1室長は13日、70~100歳代の高齢者30人の血液を調べたところ、4割に当たる12人が、新型インフルエンザに対する抗体を持っていたと発表した。過去に今回と似たウイルスに感染した可能性があるという。
20~30歳代の30人では、抗体があったのは1人だけだった。また、季節性インフルエンザのワクチンの接種後も抗体反応は強まらないと分かった。季節性ワクチンは、新型には効果がないとみられる。
2009年7月13日 毎日新聞
「18年以前誕生」免疫...高齢者に抗体確認
新型インフルエンザに対する免疫を1918年以前に生まれた人は持っている可能性があることを、東京大医科学研究所などが明らかにした。また、新型ウイルスは季節性と違い、肺で増殖するなど強い毒性を持つことが動物実験で示された。医科研の河岡義裕教授(ウイルス学)は「秋冬の流行時には広い世代で早期治療を心がける必要がある」と注意を促している。13日の英科学誌ネイチャー(電子版)に掲載された。
河岡教授らは、献血などのため新潟大などに保管されていた日本人約250人の血液を調べた。新型ウイルスに対する抗体を持っていたのは、多くがスペイン風邪が発生した1918年より前に生まれた人だった。
新型インフルエンザに関して、米疾病対策センター(CDC)などの調査から60歳以上に免疫がある可能性が指摘されている。だが、河岡教授は「18年のウイルスは人で流行するうちに大きく変異した。一方、新型ウイルスはほとんど変異しないまま豚で流行していたため、20年代以降に生まれた人に免疫はないとみられる」と指摘している。
さらに、イタチの仲間で実験したところ、新型ウイルスに感染させた3匹は気道内で広く増殖して肺に侵入し増殖するのに対し、季節性に感染させた3匹は鼻などの上気道にとどまった。
米国などでも健康な人がウイルス性肺炎を起こして重症化する例がある。河岡教授は「新型ウイルスには季節性にはない毒性があることを示す結果で、今後さらに毒性を増す恐れもある。60~80代の高齢者も免疫がないとみられ、十分な警戒が必要だ」と話している。【関東晋慈】
◇国立感染研でも高齢者の4割で
一方、国立感染症研究所も新型インフルエンザの発生前に福岡県の医療機関に保存されていた72~101歳(平均83・4歳)の30人分の血清について、免疫反応を調べた。その結果、4割の人の血清に新型ウイルスに反応する抗体があることを確認した。抗体がある人は80歳代に多かったが、調査対象の全般に保有者はいたという。調査した小田切孝人・インフルエンザウイルス研究センター第1室長は「国内でもかなり高齢の人は新型インフルエンザに似たウイルスの感染で、免疫を持っている可能性がある。今後は対象者を広げ、一般化できるか調べたい」と話している。【江口一】
新型インフルエンザの海外の感染状況
2009年5月19日午前8時(日本時間)現在、感染が確認された旨政府当局またはWHO が発表した国は以下のとおりです。
メキシコ、米国、カナダ及びコスタリカを除き、各国とも死亡者はありません。
WHO が同時点で公表している感染状況
感染が確認された国40か国、感染者数8,829人
メキシコ 感染者数3,103人(うち68人死亡)
米国 感染者数4,714人(うち4人死亡)
カナダ 感染者数496人(うち1人死亡)
コスタリカ 感染者数9人(うち1人死亡)
日本 感染者数125人(厚生労働省によれば合計159人の感染確認)
スペイン 感染者数103人
英国 感染者数101人
パナマ 感染者数54人
フランス 感染者数14人
ドイツ 感染者数14人
コロンビア 感染者数11人
イタリア 感染者数9人
ニュージーランド 感染者数9人
ブラジル 感染者数8人
イスラエル 感染者数7人
中国(含む香港) 感染者数6人(うち香港2人(香港衛生署発表))
ベルギー 感染者数5人
エルサルバドル 感染者数4人
感染者数3人の国
キューバ・グアテマラ・オランダ・韓国・スウェーデン
感染者数2人の国
フィンランド・マレーシア・ノルウェー・タイ・トルコ
感染者数1人の国
アルゼンチン・オーストラリア・オーストリア・チリ・エクアドル・インド・デンマーク・アイルランド・ポーランド・ポルトガル・スイス・ペルー
現地政府のみが発表している国
ギリシャ 感染者数1人
また、5月19日午前8時現在、感染疑いがある国は以下のとおり(報道含む。9か国)です。
インドネシア、フィリピン、ベリーズ、ボリビア、ホンジュラス、チェコ、ブルガリア、ルーマニア、パラグアイ
子供は、その特性から感染するリスクが非常に高い
ご存じのように日本時間2009年4月30日、世界保健機関は、パンデミックレベル(ヒト-ヒト感染を確認。
より大きな感染集団あり)をフェーズ4からフェーズ5に引き上げました。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば、
パンデミック(pandemic、世界流行)とは、ある感染症や伝染病が世界的に流行することを表す用語である。
エピデミック(epidemic、感染症)がいつも以上に流行することをアウトブレイク(outbreak、感染爆発)と呼び、これが国際的に感染を広げて複数の大陸に蔓延した場合、これをパンデミックという。
WHO世界保健機関のチャン事務局長は記者会見で、
「人類全体の深刻な危機」
と言ったそうですが、報道が集中している割には日本の雰囲気はのんびりしているような印象を受けます。
気のせいか!?
いやいや、気のせいじゃない!!
2009年5月2日 毎日新聞で、「成田でタイ便160人検疫漏れ」というニュース。
<新型インフル>成田でタイ便160人検疫漏れ 到着便集中
厚生労働省は2日、成田空港に到着したタイ・バンコク発全日空916便(タイ航空6002便共同運航便)の乗客150人と乗員10人が、発熱を感知するサーモグラフィー検査などの検疫なしに入国したと発表した。
検疫官が別の便の対応に追われ、検疫ブースから離れていたため。
到着前に発熱などを訴えていた人はなく、同省は「新型インフルエンザの発症者が検疫をすり抜けた可能性は極めて低いが、国民に不安を与えかねず申し訳ない」と話している。
厚労省によると、タイ便は午前8時20分、第1ターミナルの第5サテライトに到着。5人の検疫官が乗客・乗員から健康状態の質問票を回収し、サーモグラフィー検査をすることになっていた。
しかし、5人の検疫官は数百メートル離れた第3サテライトの検疫も担当。タイ便到着前に第3サテライトへ6機の到着便が集中し、全員で作業にあたった。
タイ便到着後に検疫官が戻った時には、残っていたのは乗客1人で、この乗客以外からは質問票を回収できなかった。
厚労省は今後、個別に連絡を取って健康状態を確認するが、乗客に同省コールセンター(03・3501・9031)に連絡するよう呼びかけている。【奥山智己】
「到着前に発熱などを訴えていた人はなく」ても、潜伏期間はあるんじゃないのか?
「厚生労働省は新型インフルエンザの発症者が検疫をすり抜けた可能性は極めて低い」ってホントか?
しかし、「そんな深刻にならなくてもイイ」、そういう姿勢が世界的な流行を促進するのは歴史が証明済み。
大都市では国内発生からパンデミックになるまで最短で5日
と警告し、さらに、
子供は、その特性から感染するリスクが非常に高いこと、重篤化の危険性が高いことを親や地域社会が充分に認識することです。
と指摘し、その理由をこう記しています。
子供たちの高い感染リスクを先ず理解します。
1. 低い身長による「飛まつ感染」のリスクが高い
2. 無意識の行動による「接触感染」のリスクが高い(自らの
汚染された手で口、鼻、目に触る動作が大人より頻繁)
3. 防御意識が低いこと、感染防止の手立てに対する理解が低い
4. 子供同士の集団行動による、「飛まつ感染」、「接触感染」
の機会が多い
また、「感染防止備蓄品と食料品備蓄」について
既に、法人向けのマスクその他の感染防止備蓄品については、品薄傾向になっています。個人用のサージカルマスクは、まだドラッグストアなどにあると思われますが、一人100枚程度で充分です。
手指消毒剤や噴霧消毒剤は、大きいボトル(1リットルなど)で購入されることをお勧めします。
食料品については、米を中心とした新型インフルエンザに対応した食料備蓄品について、農水省からのガイドが出ていますので、それらを参考にご購入下さい。と。
農林水産省に新型インフルエンザに備えた家庭用食料品備蓄ガイドについては、別項で簡単にまとめておきました。
備えあれば憂いなし!
「子供たちの高い感染リスク」を理解し、準備をしておきましょう!
A病院職員新型インフルエンザ発生事例報告
平成21年5月28日、国立感染症研究所感染症情報センターの新型インフルエンザ大阪派遣チームが「病院職員の発生事例」を厚生労働省のサイトに報告しています。
以下、その報告を見てみましょう。
報告は、
1.背景
2.当該発病者の発病までの概要と病棟について
3.調査方針と調査対象
4.調査方法
5.結果
6・終わりに
から成っており、まるでドラマを見ているかのようです。病院などの多くの人が訪れる施設でインフルエンザが発症した時の感染の様子がよくわかりますし、今後、新たなインフルエンザ発症の際に参考になると思います。
1.背景
2009年5月15日に神戸市から、翌16日には大阪府から新型インフルエンザの発生報告があり、その後この両府県を中心に日本国内での報告数は累積で321例となった。
大阪では、新型インフルエンザの患者発生は大阪市以北の北摂地域が中心であり、同地域での新型インフルエンザ対策を含めた医療体制は非常に厳しい状況を迎えていた。
A病院は同地区の地域医療の中核を担っており、平時からの入院、一般外来、二次救急、小児科救急に加えて、新型インフルエンザ対策においても、発熱外来を開設し、文字通り地域医療の中心的役割を担っている。
5月20日、同病院に勤務する看護師が日勤の勤務終了後に38℃以上の発熱をきたし、翌21日に発熱外来を受診し、同日の夜に新型インフルエンザであると確定診断された。
我々は5月22日の午前に断片的ながらこの情報を入手し、大阪府健康医療部と協議の上、実態の把握と感染拡大防止に向けた提言を行うために、直ちに現地に調査員を派遣し、大阪府B保健所と合同で積極的疫学調査を行ったので、その結果を以下に報告する。
2.当該発病者の発病までの概要と病棟について
当該発病者(以降B氏とする)はC病棟に看護師として勤務している。同病棟は内科系・外科系の混合病棟であり、入院患者の多くは糖尿病や呼吸器疾患等の慢性疾患を持った高齢者であり、通常の季節性インフルエンザの罹患に関してはいわゆるハイリスク者に分類される。
B氏は5月16~18日は勤務がなく、自宅のある大阪北部やその周辺地域、兵庫県尼崎市内のショッピングモール、京都市内等に外出していた。
5月19日、20日の両日は日勤の病棟勤務であったが、20日の日勤の勤務が終了して帰宅した後の19時に38℃以上の発熱をきたし、21日午前に発熱外来を受診し、同日夜に新型インフルエンザと確定診断された。
3.調査方針と調査対象
新型インフルエンザの感染経路であるが、通常の季節性インフルエンザに準じているというこれまでの我が国や米国CDC、WHO等からのガイドラインに矛盾する所見はこれまでの我々の疫学調査からは得られていないことから、今回の調査においてもその季節性インフルエンザに準じて感染経路を考慮することとした。
しかしながらまだ新型インフルエンザに関してははっきりとした感染経路に関するエビデンスが存在していないことと、入院患者の多くがハイリスク者であるとことから、接触者のリストアップは広めに行うことを基本方針とした。
B氏が勤務していた5月19日および20日に、同氏が接触した可能性のある病院の患者および職員を対象とした。
B氏の発症は5月20日19時頃であったため、厳密には5月19日の19時より前(発病24時間より前)に接触した可能性のある者は接触者の定義には当てはまらない可能性が高い(積極的疫学調査の実施要綱)が、今回は接触者としてのリストアップは広めに行うという方針のもとに、19日の接触者もリストアップすることとした。
なお、病棟への面会者については、病院によって18日以降はサージカルマスク着が必須とされていたことや、B氏との接触があったとしてもごく短時間にとどまることを考慮し、今回の調査対象からは除外した。
4.調査方法
5月22日の午後に保健所と共にA病院に到着し、直ちに調査に取り掛かった。
病院側によってすでに行われていた接触者調査結果の提供を受け、それが接触者をすべてカバーしているかを検討した。
B氏との接触状況を確認するために、接触者個々の調査の詳細を確認することに加えて、同日、一部の調査員をB氏が療養中である自宅に派遣し、対面による聞き取り調査を行い、改めてリストアップされた者に対する状況や、他にリストアップすべき接触者が存在するか否かの確認を行った。リストアップされた患者に対しては、接触状況に応じて、改めて抗インフルエンザウイルス薬の予防内服を含めた健康観察の方法について検討することとした。
5.結果
(1)病院による接触者調査の評価
病院による接触者調査では、5月21日時点で病院職員34名と入院患者7名がリストアップされており、そのうち多くの者については、すでに予防投薬が開始されていた。
検討の結果、病院職員34名中、医師6名は接触の可能性がないと判断され、5月22日にリストからは除外された。
逆に、病棟の入院患者はB氏の受け持ちであった6名と、勤務時間中に錯乱して暴れ、臨時にサポートを行った患者1名の計7名の外に、このサポートを行った患者と同室であった3名の患者を新たに加えることとした。
以上より、今回のリストアップの対象者は、病院職員では同じ病棟に勤務していた看護師25名、医師1名、病棟や事務室での接触が疑われる病院関係者2名の計28名、病棟の入院患者ではB氏の受け持ちであった患者6名、暴れたため臨時にサポートを行った患者1名、及びその患者の同室者3名の計10名(総計38名)となった。
(2)リストアップされた病院職員に対する検討結果
この病院では職員のサージカルマスク着用が徹底されており、B氏も休憩や食事以外では常にサージカルマスクを着用していた。これは本人からの聞き取り調査からも裏付けられた。
B氏、もしくは接触者の両者か、あるいはどちらかがサージカルマスクを着用した状態であれば、接触のレベルとしては低いものであると考えた。
一方、B氏と接触者の両者が、ともにマスクを着用せずに食事を共にしたり、会話を交わしたりしている場合は比較的濃厚な接触であると判断した。
また、5月19日の日勤中での接触者は、発症前24時間より以前の接触であることも考慮に入れるべきと考えられた。以上を踏まえ、接触者を以下の4つの段階に分類し、感染の可能性は、レベル1→4の順と評価した。
レベル1:
双方ともに、マスクをはずした状態で会話や食事を共にした濃厚接触者(5月20日)(2名)
レベル2:
双方ともに、マスクをはずした状態で会話や食事を共にした濃厚接触者(5月19日)(2名)
レベル3:
双方ともに、マスクをはずした状態での接触者(同一空間にいたのみで会話等はなし)(12名)
レベル4:
少なくとも一方がマスクを着用した状態での接触者(12名)
(3)最終的にリストアップされた入院患者に対する検討結果
患者のケアにあたる際には、B氏は常にサージカルマスクを着用している状態であった。したがって検討の対象となった入院患者10名は、全て濃厚接触者にはあてはまらない。
中でも、臨時にサポートを行った患者1名と、その同室者3名については、接触のレベルはかなり低いものと判断された。しかしながら、感染の可能性を完全には否定できないことや、入院患者はいずれも重篤な基礎疾患を有し、新型インフルエンザ発症時のハイリスク群であることから絶対に新型インフルエンザを発病させてはいけないこと等より、濃厚接触者に準じて取り扱うこととした。
6.調査結果を踏まえての提言
これまでの調査結果を踏まえて、新型インフルエンザ大阪派遣チームは、池田保健所およびA病院に対して、5月22日に以下の提言を行った。
「リストアップされた病院職員に対して」
[1]全てのリストアップされた病院職員に対しては、B氏との最終接触日を0日目として、7日目が終了するまでの間を健康観察期間とし、1日2回の体温測定を実施するとともに、抗インフルエンザウイルス薬の予防内服を、健康観察期間中は実施する
[2]病院職員のうち、最も感染している可能性のある濃厚接触者2名(レベル1)は、上記健康観察期間中は自宅待機とする
[3]レベル2(2名)は、B氏と濃厚接触しているものの、発症前24時間よりも以前の接触であり、レベル3(12名)は濃厚接触とはいえない。従って健康観察期間中も原則として勤務は可能とするが、検温によって37.5℃以上の発熱がみられた場合は速やかに連絡し、勤務中の場合はその勤務を離れる
[4]レベル4(12名)は、感染している可能性は最も低いが、ハイリスク者の入院する医療機関である事を考慮し、感染拡大防止の観点から健康観察の対象とし、その取り扱いはレベル2および3に準ずることとする
「最終的にリストアップされた入院患者に対して」
[1]全てのリストアップされた入院患者に対しては、B氏との最終接触日を0日目として、7日目が終了するまでの間を健康観察期間とし、新型インフルエンザの症状の発生について慎重に経過観察を行うと共に、抗インフルエンザウイルス薬の予防内服を、健康観察期間中は実施する
6・終わりに
2009年5月22日午前、A病院において、医療従事者が新型インフルエンザを発病した、との連絡が我々に入った当初は、情報が錯綜しており、自治体や病院現場が相当混乱していることが容易に想像された。
我々は、
「病院に入院し、新型インフルエンザを発病した場合にはハイリスクとなる患者を保護し、合わせて大阪の北摂地域の医療を守るために最適な対策とは何か」を合言葉に、直ちに調査員を現地に派遣し、調査に取り掛かった。
この、積極的疫学調査によって得られた知見をもとに、合同調査を実施した池田保健所(大阪府)およびA病院に対していくつかの提言を行ったが、これらは直ちに実行に移された。
今後、今回のA病院で発生したことと同様の事例が、他の新型インフルエンザ発生地域でも起こることは容易に予想される。その場合に今回の事例が、少しでも対策の立案の参考になれば、と考え、本稿を作成した。
全国の医療機関、公衆衛生機関の方々にお役立ていただければ幸甚である。なお、全員の健康観察が終了した5月28日現在で、最終的なリストアップ者を含め、院内におけるB看護師の接触者のうちで、インフルエンザ様症状を発症したものは確認されなかった。
この報告は、国立感染症研究所感染症情報センターの新型インフルエンザ大阪派遣チームによる「病院職員新型インフルエンザ発生事例報告」で、厚生労働省のサイトにアップされていたものを紹介しています。
医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(改定版)
平成21年6月19日付で厚生労働省より、医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針の改訂版が示されましたので、誤解を招かないように以下、全文を紹介します。
1.基本的考え方
平成21年5月22日付け厚生労働省「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」について、諸外国の患者発生状況、これまでの我が国の患者発生状況等にかんがみ、以下のように改定する。
(諸外国の患者発生状況)
今回の新型インフルエンザ(A/H1N1。以下同じ。)については、現在においても感染者数は増加しており、特にこれから冬を迎える南半球において増加が著しい。平成21年6月12日(日本時間)、世界保健機関(WHO)は感染状況について異なる複数の地域(大陸)の国において地域(コミュニティ)での持続的な感染が認められるとして、2009年改訂ガイドラインに基づくWHOフェーズ分類を6とし、世界的なまん延状況にあると宣言した。その上で、WHOは加盟国に対し、引き続き警戒を求めるとともに、社会経済的混乱を招かないよう各国の状況に応じて柔軟に対応することを求めている。
(我が国の患者発生状況と今後の見通し)
我が国における感染の状況については、一部地域において、海外渡航歴のある者が端緒となる散発事例と学校における集団発生事例、さらにこれ以外にも散発事例がいくつかの都道府県で見られている。これらの事例について感染拡大防止のための調査や健康観察などを行っている。
しかし、外国との交通が制限されていないことや南半球をはじめとする諸外国での感染状況の推移を見ると、海外からの感染者の流入を止めることはできず、今後とも、我が国においても、患者発生が続くと考えられる。さらに、一部に原因が特定できない散発事例が発生していることを見ると、秋冬に向けて、いつ全国的かつ大規模な患者の増加を見てもおかしくない状況であると考えられる。
今回の新型インフルエンザの特性として、基礎疾患を有する者等は重症化の可能性が高いとの報告がある。今後、患者数の増加に伴い、基礎疾患のある者で重症患者が増加する可能性があり、これに対応しなければならない。
(基本的考え方)
新型インフルエンザについては、現在の感染状況を見ると、感染拡大防止措置による患者の発生をゼロにするための封じ込め対応は、既に現時点では困難な状況である。
したがって、秋冬に向けて国内での患者数の大幅な増加が起こりうるという観点に立ちつつ、患者数の急激で大規模な増加をできるだけ抑制・緩和することにより社会活動の停滞や医療供給への影響を低減させる。また、ほとんどの者は軽症のまま回復しているが、一部の基礎疾患を有する者等は重症化することが分かっている。したがって、軽症の人が自宅療養を行うこと等により、患者数の増加に伴い増えると考えられる医療機関の負担を可能な限り減らし、重症患者に対する適切な医療を提供することを目指すことが必要である。
また、患者の把握についても、個々の発生例ではなく、患者数の大幅な増加の端緒となる事例や全国的な傾向を的確かつ速やかに探知し、対策につなげていくことが必要である。
さらに、患者数の急激で大規模な増加を見てから、対策の変更を講じることは、現場の混乱を引き起こしかねない。現時点を、感染拡大防止措置により患者の増加を抑制しつつ、秋冬の事態に対応するための準備の期間と位置付け、仮に患者が急増した場合でも、社会的な混乱が最小限となるよう体制を整えていくことが必要である。
このような観点から、以下の考え方に基づき、2以下に述べる対策を速やかに講じるものとする。
(1) 重症患者数の増加に対応できる病床の確保と重症患者の救命を最優先とする医療提供体制の整備
(2) 院内感染対策の徹底等による基礎疾患を有する者等の感染防止対策の強化
(3) 感染拡大及びウイルスの性状の変化を可能な限り早期に探知するサーベイランスの着実な実施
(4) 感染の急速な拡大と大規模かつ一斉の流行を抑制・緩和するための公衆衛生対策の効果的な実施
なお、これまでは感染者・患者の発生した地域を大きく「感染の初期、患者発生が少数であり、感染拡大防止に努めるべき地域」と「急速な患者数の増加が見られ、重症化の防止に重点を置くべき地域」の2つのグループに分けて指針の運用を行ってきたが、このグループ分けを廃止する。
2.地域における対応について
(1)発生患者と濃厚接触者への対応
[1] 患者
原則として患者(患者と疑われる者を含む。)については、医師の指示等に従い、入院措置ではなく、新たな感染者をできるだけ増やさないよう、外出を自粛し、自宅において療養する。なお、感染拡大のおそれがある場合などについては必要に応じて入院させることも可能とする。
基礎疾患を有する者等*に対しては、早期から抗インフルエンザウイルス薬の投与を行う。そのうち、重症化するおそれがある者については優先的にPCR検査を実施し、必要に応じ入院治療を行う。なお、医師の判断に資するため、厚生労働省において、医療従事者に対して、随時、最新の科学的知見等を情報提供することとする。
[2] 濃厚接触者
患者の濃厚接触者に対しては、都道府県等は、外出自粛など感染拡大防止行動の重要性をよく説明し協力を求めるとともに、一定期間に発熱等の症状が出現した場合、保健所への連絡を要請する。学校等の集団に属する者であって、複数の患者が確認された場合は、必要に応じ積極的疫学調査を実施し、濃厚接触者を特定する。
基礎疾患を有する者等で感染を強く疑われる場合については、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を医師の判断により行う。さらに、医療従事者や初動対処要員等のうち基礎疾患を有する者については、それらの者がウイルスに暴露した場合には、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を行う。その上で、感染した可能性が高くない場合には、職務の継続を可能とする。
* 基礎疾患を有する者等:新型インフルエンザに罹患することで重症化するリスクが高いと考えられている者をいう。通常のインフルエンザでの経験に加え、今回の新型インフルエンザについての海外の知見により、以下の者が該当すると考えられる。
妊婦、幼児、高齢者、慢性呼吸器疾患・慢性心疾患・代謝性疾患(糖尿病等)・腎機能障害・免疫機能不全(ステロイド全身投与等)等を有しており治療経過や管理の状況等を勘案して医師により重症化へのリスクが高いと判断される者等。
(2)医療体制
発熱相談センターは、受診する医療機関が分からない人への適切な医療機関の紹介、自宅療養している患者への相談対応等、電話による情報提供を行う。具体的な発熱相談センターの運用については、地域住民がどのような情報を必要としているか等に応じて都道府県等において決定する。
外来部門においては、今後の患者数の増加に対応するために、現在、発熱外来を行っている医療機関のみならず、原則として全ての一般医療機関においても患者の診療を行う。その際、発熱患者とその他の患者について医療機関内の受診待ちの区域を分ける、診療時間を分けるなど発熱外来機能を持たせるよう最大の注意を払う。特に、基礎疾患を有する者等へ感染が及ばないよう十分な感染防止措置を講ずる。また、公共施設、屋外テント等の医療機関以外のところに外来を設置する必要性は、都道府県等が地域の特性に応じて検討する。
入院については、原則として実施せず自宅療養とするが、重症患者については、感染症指定医療機関以外の一般入院医療機関においても入院を受け入れる。その場合も、医療機関は院内感染防止に配慮した病床の利用に努める。都道府県は、地域の実情に応じて病床を確保する。
都道府県は、特に新型インフルエンザに感染した際のリスクが高いと考えられる者を守るため、都道府県の判断により発熱患者の診療を原則行わない医療機関(例えば透析病院、がん専門病院、産科病院等)を定めることができる。
(3)学校・保育施設等
学校・保育施設等で患者が発生した場合、当該学校・保育施設等の児童・生徒等を感染から守るために、都道府県等は、当該学校・保育施設等の設置者等に対し、必要に応じ臨時休業を要請する。
なお、感染拡大防止のため特に必要であると判断した場合、都道府県等は、患者が発生していない学校・保育施設等を含めた広域での臨時休業の要請を行うことは可能である。
大学に対しては、都道府県等は、必要に応じ、休業も含め、できる限り感染拡大の速度を遅らせるための運営方法の工夫を要請する。
3.サーベイランスの着実な実施
(1)感染拡大の早期探知
新型インフルエンザの集団における患者発生を可能な限り早期に探知し、感染の急速な拡大や大規模な流行への発展の回避を図る。
このため、保健所は、全ての患者(疑い患者を含む)を把握するのではなく、放置すれば大規模な流行を生じる可能性のある学校等の集団に属する者について、重点的に把握を行う。また、同一集団内で続発する患者についても把握を行う。この変更に当たっては、円滑な移行期間を経て、速やかに実施する。
地方衛生研究所は、これらの疑い患者の一部からの検体に対し、確認検査を実施し、新型インフルエンザと確定した場合には、医師は、保健所への届出を行う。
あわせて、保健所においては、従来から学校等におけるインフルエンザの集団発生につながる出席停止や臨時休業の状況を把握しているが、今後は、より迅速に把握する。
都道府県等では、これらの結果等を国へ報告するとともに、患者への対応、濃厚接触者への対応等を含め、必要な感染拡大防止対策を実施する。
(2)重症化及びウイルスの性状変化の監視
入院した重症患者の数を把握するとともに、予め定められた病原体定点医療機関からインフルエンザ患者の検体提出を受け、地方衛生研究所及び国立感染症研究所において、病原性や薬剤耐性など、ウイルスの性状変化に対する監視を実施する。
その結果、性状の変化が見られた場合には、その結果を公衆衛生面、医療面等における対応へ的確に反映させる。
(3)インフルエンザ全体の発生動向の的確な把握
予め定められた定点医療機関におけるインフルエンザ患者の発生状況の保健所への報告に基づき、インフルエンザ全体の発生動向を的確に把握し、医療関係者や国民へ情報提供する。
4.検疫
現状では既に世界的なまん延状況にあるとの認識の下、今後の検疫の方針を入国者全員への十分な注意喚起と国内対策の変更に応じた運用へ転換する。
全入国者に対して、検疫ブースの前で呼びかけを行うとともに、新型インフルエンザに関する注意を記載した健康カードを配布し、個人としての感染予防に留意するよう周知するとともに、発症した場合には医療機関を受診するようさらに周知徹底する。
有症者の把握については、事前通報があった場合の状況に応じて、機内検疫を継続実施するほか、機内アナウンスの強化等による自己申告への協力依頼を継続する。
検疫で判明した有症者(同一旅程の集団から複数の有症者が認められた場合を除く)については、原則、新型インフルエンザのPCR検査を行わず、症状に応じたマスク着用や可能な限り公共交通機関を使わないなどにより帰宅(自宅療養)させる。
同一旅程の集団から複数の有症者が認められた場合には、検疫所において確認のため新型インフルエンザのPCR検査を実施し、陽性の場合には本人に連絡し医療機関受診を勧める。この場合、当該同一旅程の他の者については、住所地等を確認の上、都道府県等に対して、情報提供を行う。都道府県等は、この者に対し、外出自粛など感染拡大防止行動の重要性をよく説明し協力を求めるとともに、一定期間に発熱等の症状が出現した場合、保健所への連絡を要請する。
5.更なる変化に備えて
秋冬に向けて起こりうる国内の患者数の大幅な増加に対応する準備とともに、実際に、患者数が大きく増加したときの適切かつ迅速な対応をさらに検討していくことが必要である。
特に入院医療について、患者が適切な医療を受けられない事態を回避するため、より重症者に限定した入院医療の提供など具体的な対策を検討し明らかにしていく必要がある。
サーベイランスについては、感染拡大の早期探知の取組を停止し、定点医療機関における発生動向の把握等に特化するとともに、病原性や薬剤耐性などの変化を見るため病原体サーベイランスを継続するなど、状況に応じた対応を行う。
また、ウイルスの性状に変化が見られ、病原性の増大や薬剤耐性の獲得が生じた場合は、本運用指針の見直しを検討する。


