立命館大学、岐阜県で困惑する「市岐阜商問題」
立命館大学のこの15年間の歴史は拡大と系列下の歴史といってもいいでしょう。立命館の遠隔でも触れたように、
1995年:宇治学園との法人合併(前年)により立命館宇治高等学校開校
1996年:慶祥学園との法人合併により立命館大学慶祥高等学校開校
2000年 立命館アジア太平洋大学開学・立命館慶祥中学校開校
2003年 立命館宇治中学校開校
2006年 立命館小学校開校・立命館守山高等学校開校
2007年 立命館守山中学校を開校
次々と立命館大学は各高校を傘下に収め、新設学部を続々と開設してきました。その甲斐もあって、2008年5月1日現在、立命館大学の学生数は33,013人(うち女子が11,766人)となり、大学院の学生数は2,655人(うち女子711人)、留学生975人、系列の立命館アジア太平洋大学の学生数は2,557人と約4万人の学生を抱えるマンモス大学となりました。
系列の小学校・中学校・高校の在籍者数が6,513人で、これらの学生は基本的に立命館大学に進みますから、私立大学の半数が定員割れで経営が危ぶまれる中、しごく順調に経営拡大をしてきたともいえます。
入試志願者数を見ても順調そのもの。
立命館大学 2008年度学部別入試状況
法学部
募集人数:875 志願者数:9,120 合格者数:2,552 志願倍率:3.57倍
産業社会学部
募集人数:900 志願者数:10,819 合格者数:2,346 志願倍率:4.61倍
国際関係学部
募集人数: 275 志願者数:3,579 合格者数:660 志願倍率:5.42倍
政策科学部
募集人数: 360 志願者数:2,723 合格者数:790 志願倍率:3.45倍
文学部
募集人数: 1,075 志願者数:11,607 合格者数:3,176 志願倍率:3.65倍
映像学部
募集人数: 150 志願者数:2,249 合格者数:352 志願倍率:6.39倍
経済学部
募集人数: 785 志願者数:11,109 合格者数:3,556 志願倍率:3.12 倍
経営学部
募集人数: 810 志願者数:10,307 合格者数:2,589 志願倍率:3.98 倍
理工学部
募集人数: 900 志願者数:18,032 合格者数:5,617 志願倍率:3.21倍
情報理工学部
募集人数: 440 志願者数:4,931 合格者数:1,691 志願倍率:2.92倍
生命科学部
募集人数: 280 志願者数:9,298 合格者数:2,957 志願倍率:3.14倍
薬学部
募集人数: 100 志願者数:1,823 合格者数:437 志願倍率:4.17倍
合計
募集人数: 6,950 志願者数:95,597 合格者数:26,723 志願倍率:3.58倍
全国の大学入試志願者数から見ると、立命館大学の志願者数95,597人は、早稲田大学125249人、明治大学108946人、法政大学97017人に次いで、第4位。
しかし、その立命館大学に1つ暗雲が立ち込めているのです。
暗雲とは、立命館大学が進出を目指す岐阜県の話。
話は、2007年2月9日、立命館が岐阜市に宛てた提案から始まります。
学校法人立命館は、アジア太平洋地域の教育・研究拠点の形成を目指し、21世紀を担う人材育成を使命としており、岐阜市との相互協力により、人づくりを進めたいと考えております。
その第一歩として、伝統ある岐阜市立岐阜商業高校を立命館岐阜高校として新たな発展を図ることについて提案いたします。
この学校法人立命館の提案の主な内容は、
移管について
(1) 岐阜市は、市立岐阜商業高校を学校法人立命館に移管する。
(2) 移管後の名称は、立命館岐阜高校とする。
立命館岐阜高校等について
(1) 立命館岐阜高校は、21世紀の日本を展望し「ものづくり日本」のために理数系教育と国際社会時代にふさわしい国際化教育を二大特色とし、立命館大学と立命館アジア太平洋大学へ進学する、男女共学、普通科とする。
(2) 立命館岐阜高校に中学を併設し、中学・高校ともに、正課において文理融合の総合的教育を行うとともに、スポーツをはじめとする課外活動も重視し、人間力のある生徒の育成に努める。
(3) 立命館岐阜高校としての開校は、2009年度(平成21年度)をめざす。
(4) 併設する中学校の設置は、2010年度(平成22年度)をめざす。
しかし、この提案が岐阜市を揺るがす大問題に発展していったのでした。
2006年の12月に岐阜の市議会で市長が立命館から学校移管の打診があったことを発表したのですが、市議会は「事前に何の説明もなかった」と不満が噴出。
結局、この問題は市長の出直し選挙にまで発展し、2009年3月27日、岐阜市議会は「市が新年度予算に盛り込んだ移管計画を進める事務費(97万円)を削る修正案」を賛成多数で可決し、「市立岐阜商業の廃止方針の撤回を求める決議」も可決したのでした。
これによって立命館の市立岐阜商業の移管は極めて厳しい状況になりました。立命館は、2008年度内に市議会が移管推進に同意することを移管の条件としているため、また、立命館常務理事が「教育機関なので、大半の人が歓迎してくれる中で岐阜市へ行きたい」「地元に受け入れてもらえる雰囲気がないと難しい」と述べていることから、おそらく今回の移管計画を取り下げることになるでしょう。
いずれにしても今回の市立岐阜商業へに立命館移管は困難な状況になりましたが、前述の立命館の常務理事が「東海地域のものづくりを支え、国際性豊かな人材をはぐくむ教育」を目指しているだけに大きな時間を経ずして次なる進出が展開されると予想されます。